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親鸞聖人の教えとの出遇い|浄土真宗親鸞会

大事な教えと、娘との絆

 子供の手も離れ、「さてこれから残りの人生どう生きていったらいいのか」と思い悩んでいたころでした。

 当時大学に通っていた娘が、「お母さん、人生には目的があるって知っている?」と問い掛けてきたのです。

 いきなり壮大なテーマを突きつけられ、戸惑う私に、「仏教に、それが説かれているんだよ!」という返事。

「これは危ない!絶対に何かおかしい宗教を聞いてきたに違いない」とピンときました。

 ちょうどオウム事件が世間を騒がせていた時期でもあり、「何とか娘をやめさせなくては!」と私も必死でした。

 夜を徹しての議論が何日も続きました。

「お願いだからやめてちょうだい。あなたはまだ若く経験も浅いから、分からないのよ!」「変なものじゃないの?」。時には泣きながら説得しようとしました。

 しかし娘は頑として聴き入れず、私は親の力が及ばないところにわが子が行ってしまったような、無力感に打ちひしがれたのです。

 

 そんな状態のある日のこと。

 今まで寝坊で起こすのも大変、何を言っても動かなかった娘が、自分から起きだし、さわやかに、「おはよう!」と言うではありませんか。

 そのうえ、食事の支度から後片付けまで、手伝うようになったのです。

 掃除も時間を見つけてはやってくれます。それも一日だけではなく、毎日毎日です。

 以前より機嫌よく大学へも通っている様子。

 かたくなになっていた私の心は、娘と一緒にお皿を洗っているうちに、少しずつ解けていきました。

 今までずっと反対してきたけど、あの子は何か変わってきたな、思ったほど悪いものではないのかもしれないと思い始めたのです。

「もし何か怪しいと思ったら必ずやめると約束してね」と約束させ、わが子を信じてしばらく様子を見ることにしました。

 私の心も違う方向へ向かいました。

 あれほど説得しても止めようとしないのなら、止めさせる方法を考えるためにも、まず相手の正体を知らなければならないと思うようになりました。

 早速子供が持っていた小冊子を読んでみましたが、よく分かりません。

 仏教にまるで関心がなかった私に、仏教用語はあまりに難しすぎてなじめなかったのです。

 でも、毎日少しずつ読んでいるうちに、なるほどと心に響く文章もいくつかありました。

 やがて娘に、「一緒に仏教の文化講座に行ってみない?」と誘われました。

 勇気を出して参加してみました。

 ところが、講師のお話を聞いているうちに、すっかり話に引き込まれていったのです。

 何と分かりやすく面白い話なんだろうと、感心してしまったのです。

 自分自身もこれには驚きました。

 

 月に2回ほど聞き続けていたある日、お話の中で『父母恩重経』というお経の話がありました。

 親が子を一人前にするには、親がどれほどの愛情をかけ、苦労して育てていくものか、その親の恩に報いることがいかに大事かが説かれていました。

「そうか、こういう話を聞いていたのか」と、娘の変化に納得がいきました。

 お釈迦さまの教えは、聞けば聞くほど納得せざるをえない、論理的な教えであり、決して思い込みで信じるものではありませんでした。

 仏教にこれほど深い教えが、人間が本来知っていなければならない尊い教えが説かれているとは、全く知りませんでした。

 むなしいこれからの晩年、どう生きていけばいいのか悩んでいた私は、人生の目的がハッキリ説かれている仏教にこそ、残りの人生をかける価値があると確信したのです。

 今は、娘と一緒に聞法の毎日です。仏教の話なら、何時間でも尽きることがありません。

 

 今の生活、昔に比べ、なんと充実していることか。

 仏教がなければ、私の人生はただ年を重ね、死ぬのを待つだけのむなしいものになっていたでしょう。

 それを伝えてくれたのは、ほかならぬわが子でした。

 今では、娘に感謝の気持ちでいっぱいです。
「私は娘より何十年も長く生きてきて、何でも知っている」という思い上がりが、気づかないうちに、ただ、むやみに反対するだけの、頑固な親にさせていたのです。

 あの時、「とにかく一度聞いてみようか」と思ったことが、こんなにもすごい教えとの出遇いにつながるとは、当時は、夢にも思いませんでした。

 たった一度の選択が、かけがえのないものとの出会いを生み出すのです。

 あの勇気によって、私は、大事な教えと、娘との絆と、どちらをも手にすることができました。

 自分の目で見て、耳で聞いて確かめることの大切さを、分かっていたつもりではおりましたが、情報に囲まれ、情報に汚染されたこの世の中で、いつの間にか失いかけていたのでしょう。


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